刑法・少年法改悪に異議あり!緊急アクション

 

【報告】
■11・7 刑法・少年法改悪に異議あり!緊急アクション 学習討論会

■講演:『日本の刑罰制度はどう変わるのか-新自由刑とは何か-』
■講師:  石塚 伸一さん(龍谷大学 法学部 法律学科 教授)

  【著書】『社会的法治国家と刑事立法政策-ドイツ統一と刑事政策学のゆくえ-』(信山社 1997年)


    【動画1:講演】1:28:35【動画2:質疑応答】28:19


 11月7日(日)13:30から、北区立滝野川西区民センター(ふれあい館)第一ホールで、刑法・少年法の改悪に異議あり!緊急アクションが主催する講演討論会『日本の刑罰制度はどう変わるのか-新自由刑とは何か-』が開催されました。

 司会の山下幸夫弁護士の挨拶・発言に続き、弁護士の池原毅和さんから10月に岡山で開催された日弁連・人権擁護大会において「予想はしていなかったのだが、精神保健福祉法における強制入院制度の廃止を求める決議が全会一致で採択された。一日も早く廃止が実現することを望む」との特別報告を受けました。

【筆者コメント】
 【その人が実際にどのような犯罪を行ったか】で裁判によって刑事施設(刑務所)に閉じ込めるのではなく…【この人物は危険で犯罪を侵す可能性がある】などという判断で強制的に施設に隔離・収容して閉じ込めることを「保安処分」といいます。
 「精神障害」を理由とした精神科病院への強制入院は、精神障害者への差別であり、保安処分制度です。
 今回目論まれている刑事法改悪もその基本は保安処分の考え方にあります。
 精神障害を理由とした強制入院制度は刑事法・刑事政策と密接につながっており、保安処分制度の拡大を阻止する上でその廃止は重要です。

 以下、石塚伸一さんによる講演の概要。


◆「新自由刑」(→法案では「拘禁刑」)はこれまでの誤った刑罰制度・獄中処遇を居直る時代錯誤の刑罰


 「新自由刑」(→法案では「拘禁刑」)とは、「禁錮刑」を廃止して刑務作業(作業)や矯正処遇を義務付けた「懲役刑」に一本化するというもの。

 戦前の刑法は、受刑者を西洋とは別の【日本独自の】やり方で刑務所で教育=矯正して「改善・更生」させるという方法を考え出した。確かに、教育を受けられなかった受刑者も多く、刑罰や矯正処遇による強制であったとしても、「作業」や矯正が出所後の就業に一定程度役立つような世の中だった。しかし、1980年代以降には全く役に立たないものになった。端的には身体規律を要求される工場が次々と海外に移転していったからである。刑務所は就業に結びつく技能を受刑者に与えることができないというのが実情である。

※「処遇」の意味:人をある立場から評価して、それに相応した取り扱いをすること。また、その取り扱い方。

 現在、学校の現場では「教育の一環」としていた【生徒による教室の掃除】が見直されようとしている。しかし、刑務所ではいまだに、受刑者による刑務所の掃除や受刑者のための炊事などが教育=矯正の一環=「所定の作業」とされている。

 刑罰として強制された「作業」に対してはわずかな「報償」(工賃)しか支払われていない(※貰っても受刑者は自由に使うことはできない)。これは「強制労働」であるという点で全く間違っているが、いづれにせよ最低賃金法は適用されなければならない。日本政府・法務省は「労働」ではなく「矯正処遇」であるとして居直っているのである。

 受刑者は、「報償」でタオルや下着などの生活必需品を購入しているが、刑務所指定の業者から市場の1.5倍ぐらいの値段で買うしかない。購買先の選択肢がないことに対する受刑者の不満は大きい。規則に反した懲罰としてその報償も没収されることがある。新自由刑で、作業ではなく矯正プログラムのほうをやれ、ということになると報償はない。しかし、事態はもっと深刻。障害を持った高齢者の受刑者などは作業はそもそもできないので生活必需品を買うことができない…その仕組みはまったく破綻している。

◆人格改変など無理。人権は刑務所内でも外と同様に保障されなければならない


 「認知行動療法」というのがある。満員電車で女性の体が近接してしまうと触ってしまうという男性。ストレスが重なると衝動的にそうしてしまう。こういう男性には、電車に乗らない生活…電車はやめて自家用車で通勤する…という選択肢を提示する。本人がこれを納得し実践すればとりあえずトラブルは回避される。人を根本的に改変するということはできない。その人なりのあり方を認めた上でその人なりのトラブル回避策を探るしかない。

 作業も矯正プログラムも、刑務官は暴力的なやり方で強制することはできない。結局、本人の意思を前提とする他ない。「新自由刑」で現場はどのようなことになるのか?

 新型コロナにより、作業が一方的に中止となっても「休業補償」のようなものは全くない。新型コロナの「一律10万円の給付金」は受刑者も対象とされたが、実際には手続ができず受給できていない。そもそも、年金の受給資格があるのに「受刑者である」というだけで受給できず、当たり前の権利が無視されている。

 監獄に入ると携帯電話の解約手続もできず【長期の料金滞納者】として解約されブラックリストに載ってしまう。出所後はどこの携帯電話会社からも契約を断られてしまう。銀行口座、クレジットカード、携帯電話(スマホ)などは現在、社会生活を営む上で最低限必要なものとなっているが、出所者はそれらを作れない、契約できないというのが実態である。

 殺人罪などで服役している多くの受刑者は、その被害者が彼・彼女の家族で相手は死んでしまっているので再犯の危険はない。「模範囚」とされる受刑者の多くはそうした人たちで、実際に接してみるとわかるが普通の人である。彼・彼女らが仮釈放を迎える段になって精神的な病になるケースも多い…どうやって社会に戻ることができるのか?…そう悩んでいる彼・彼女らに必要なのは継続的なケア・支援である。

 重罰化の影響で「Aが出られないなら、それより重い罪のBを出すわけにはいかないだろう…」と、仮釈放にすべき受刑者であるができないという状況も生まれている。

 「自由刑」とは移動・住居の自由=権利を奪うという刑罰である。しかし、受刑者である彼・彼女らも社会の一員であって、獄中に居てもそれ以外の権利については奪われてはいけない。獄外の人々と同様に保障されるべきである。そうでなければ、再度社会に戻っていくことはできない。いまの獄中の処遇も「新自由刑」も全く間違っている。参加は40名。 以上 (緊急アクション:YG)




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